3日目(8/17) サメダン→ヴェローナ

今日も快晴。今年のヨーロッパは天候不順といわれていたが、ここに来て天気は安定している様子。出発が9時近くなのでちょっと昨日よりもゆっくりと6:30起床、朝食。その後すでに前日夕食後に支払いは済ませていたので、鍵のみをフロントに返却して、いよいよ、移動開始。到着の日はタクシーを使ったが、今朝は自分達でスーツケースを押して駅まで行くことに。ホテルの前の道が石畳なので、スーツケースを運ぶのはちょっと大変。町を散策するときには、この石畳がヨーロッパらしさを醸し出してくれてよいのだが、移動のときにはちょっと、いやになってしまう。まずは、サメダンの駅でスーツケース1個あたりに10Sfr払い、ライゼゲペック。これで、荷物のほうは私たちよりも先にツェルマットに到着しているはず。そして、私たちは身軽にこれからのイタリアの日程をこなすことに。
さて、今日の電車は昨日より1時間遅い、9:17発シュクオル行き。電車は昨日と同じようにイン川に沿って下っていく。川の向こうには牧草地が広がりさらには、木々が生い茂る。標高が下がるにつれ、背の高い木が多くなっていく。進行方向左側に真新しいトンネルの入口が見え、さらに進むと、クロスターからの電車との合流地点Sagliainsに。こちら側にもベライナトンネルの出口が。このトンネルの完成によってクールやチューリッヒ方面からシュクオルに向かう便が格段によくなった様子。実際、Zernet辺りから乗車してきた人はここで、反対側のKlosters方面への電車に乗り換えのため下車していた。Sagliainsを過ぎて、時に、Lavin(右手方向),Ardez(左右両方向)では、小高い丘の上に城の跡が目に入ってくる。電車はその後、グアルダやフタンを過ぎ、右手に昨日断念した、タラスプのお城を見ながら、シュクオルの駅に10:26到着。ここで、バスに乗換え。
シュクオルのバス停は電車の進行方向から見て、右斜め前。ここから各地に行くバスがでるためか、思っていたよりもターミナルは大きい。シュクオルまで同じ電車できた人達の大部分が同じ、オーストリアのランデック行きのバスの乗車することに。私たちの最初の目的地はナウダース。ここはオーストリアなのでスイスパスは使えない、ということで、スイスパスの使えるマルティナからナウダースの間の分はキャッシュで支払うことに。1人3Sfr。オーストリアシリングでもスイスフランでもどちらでも支払いは可能。(このバスはオーストリアのバスだった。)バスは年配の割と普段着の恰好をした中年のご婦人方でかなりの満杯状態。シュクオルの町中を通り過ぎ(この辺りからの乗車客もかなりある)、またまた、川に沿って進んでいく。途中幹線道路から離れ小さな村を通り過ぎ、再び幹線道路に戻るという行程だが、途中からの乗降客は見られなかった。10:55を過ぎてマルティナに到着。
マルティナは国境地点ということだが、特にパスポートチェックはない。ここにつごう3台のバスが終結。停車すると、シュクオルからのオバサマたちが殆ど下車。自分達が乗っているバスの前に停まっているのにPTTのバスに乗換えている。少し時間があるようなのでおりて、行き先を確認してみると、サムナウン。オーストリアとの国境に近い村らしい。でも、こんなに人が行く魅力はどこにあるのかはわからずじまい。サムナウン行きのバスが発車し、こちらのバスは私たちを含めて6人しかいない乗客を乗せて11:05発車。殆ど対向車もないまま峠を一路ナウダースへむかう。ナウダースの小さなメインストリートを通り、定刻よりも早く11:15到着。もっと大きなバス停を想像していたが、標識すらないような小さなバ停。Nauders Postが停留所の名前だが、郵便局は、う〜ん、人はいないんじゃない?というくらい小さい。
次に乗るメラーノ行きのバスはインターネットでの検索では11:58予定。どこかを見に行くというわけにもいかず、って慰留所のそばにあった、[i]を覗いてみることに。カウンターの中に民族衣装の制服を着た女性が3人ほど、相談にのっていた。さて、ネット上では、11:58発のはずのバスが、なんと、停留所では12:00発と記載。ちょっと、不安がよぎる。11:50を過ぎる頃から停留所には人が集まり始めた。どちらかというと、観光客と町の人が一緒に集まってきたという感じ。シュクオールからずっといっしょのご夫妻とまたまた、一緒に。と、時計を見るともうすでに時刻は、予定時間を過ぎ、12:00。普段着っぽい人達は悠然と構えているのだが、こちらは内心焦りまくり。なんと、バスが来たのは12時を過ぎてから、発車したのは、12:05と定刻よりも8分遅れ。いままでの、スイスの時刻表どおりの旅になれていた私たちにとってはとっても、先が心配に。予定表ではメラーノでの乗り継ぎ時間は14分。8分遅れたので、残りは6分。もしも、もしも・・・・・なんか、発車したバスの中景色を楽しむ前に次の電車の心配に頭が痛くなってしまった。
バスはまず、Reschenpassを越え、このバスの旅最大の楽しみであった、Reschenseeに。湖の端のReschenに停まった後、バスはGrun〜グラン〜に停車。Reschenseeは、まったりとした湖面とその湖面から搭の先をのぞかせた教会で有名な人造湖である。湖の周りには遊歩道があり、また、数多くの車も止まっている。バスの乗客のうち、観光客らしき人々の大多数はここGrunで下車。湖だけであれば、もっと美しくそして、景観に恵まれたところはあると思う。けれども、人造湖という造られたものの中で、この湖のために沈んでしまったさまざまなものと、そして、唯一残された教会の尖塔が、人々の喧騒の中でも時の流れを止めて、その止まってしまった時の美しさと悲しさとを見る人に伝えてくれる。湖に沿って走るバスの窓からは、散歩をする人、昼食を摂る人、キャンプをする人でにぎわっている。ナウダースからここまでは約12〜3分程度ではあるが、湖のもつそのたたづまいの美と人々の喧燥が妙に写し絵の様になっていて印象に残ってしまった。 Reschenseeは決して日本では有名な場所ではないけれど、今回の旅行の中できっと、忘れ得ない光景を挙げるとしたらここを挙げるのではないだろうか?それくらい、美しさと静けさと、騒々しさと悲しさが同居した光景だった。
Reschenseeを過ぎたバスはもう一つの湖Haiderseeの横を通り、つづら折りの道を下って行く。道の両側には緑の牧草地が広がり、Burgeisでは、右手奥に、廃城(工事中?)が望める。ふたたび、つづら折りの道を行くと、Malsの村に到着。 Malsはかなり、大きい村のようでここからMeranにむけてはほぼ、30分おきにバスが運行されている。また、スイスのミュスタイヤからのバスもここマルスまで来ている。ナウダースからのってきた人々も随分と少なくなってきていたが、少しの休憩を取って、やはり、定刻より5分遅れでメラーノ向けて出発。で、ここから先、メラーノまでの景色の印象があまり残っていない。どうしてなんだろう? 一番印象に残っているのは、道路と平行して走る鉄路の跡とAdige川。私の持っているイタリアの地図にも載っているのだが、どうやら、以前はMalsまで電車が走っていた様子。それを目で追うのに熱中してしまったらしい。線路はさびているようには見えるがまだ使用可能な様子?バスの停留所は昔の鉄道の駅舎のそばだったりもした。 気がついてみると、Malsまでは、牧草地であった車窓の風景がいつのまにか、りんご畑に変わってきていた。バスの停車もだんだんと路線バスという感覚になり、観光客ではなく学校帰りのように見える子供や、買い物に出かける人々の乗り降りが多くなってきている。ステルビオ峠への分岐点であるSpondignaをすぎ、バスは再び混雑してきた。道路に沿ってある町や村以外のところでは、相変わらずりんご畑が広がってはいるが、最初の停留所以外何もない・・・という所から、周辺には銀行やホテルや商店もだんだんとメラーノに近ずくにつれ増えていく。やがて、Naturnoにバスは到着。ここには大型の観光バスも停まり、同じSADの他の路線も集まってきている。なにか、大きな史跡のようなものがあるらしい。(旗?らしきものとかがあった。)さて、この長いバスの旅ももうそろそろ終わりに近づいてきている。そんな中で、日本の長野や群馬ならよく見掛けそうな、〜りんご即売所〜らしきものを発見。ちょっと、びっくりしてしまった。インターのようなところを入り、バスはいよいよ、メラーノへ。あまりにも、大きな町なのでびっくり。終点の一つ手前で、私たち以外の人達は全員下車。どうやら、とっても大きなショッピング通りの様子。皆さんここまでお買い物に出てきたらしい。私たちだけが乗客になったバスは、終点のMerano Fs(メラーノ鉄道駅)に到着。なんと、ここで時計を見ると予定の14:30にほぼぴったりなのに驚き。う〜ん、すごいとしか言いようがない。
さて、今日の移動はまだまだ続く。メラーノで本日3回目の乗り換え。ここからは鉄道での移動。すでにスイス・チューリッヒで購入してある切符に刻印を押し、線路を渡って2両編成2等車のみのボルツァーノ行き14:44発に乗り込む。こちらは、定刻に発車した電車だが、客席はほとんどがらがら。でも、しっかりと切符のチャックはあった。車窓の風景はここでもやはり、りんご畑とバスの旅のお供だったAdige川。う〜ん、イタリアといえばワイン、そしてぶどうを想像していた私にはちょっと・・・です。その車窓もボルツァーノに近づくにつれて、工場っぽいものも見られるようになり、定刻15:21より2分遅れで、到着。さあ、ここボルツァーノが本日最後の乗り換え。
次の電車は、15:31発のEC。ということで、荷物を持ってひたすら階段を降りて昇る・・・どうして、イタリアの駅にはスロープがないんだろう・・・とつぶやきながら。 自分達が階段を昇ったときには、すでに電車はホームに。今度は予約してある車両を探さないと行けない。だが、日本と違い1号車からなんて、便利にはついていない。車掌さんに聞いても分からない、ってことで、出発が迫っているのに、ここでもまた、荷物を持ってホームを動き回り、やっと、自分達の客車に到着(ECって車両編成が長い・・・)。そして今度は座席探し。結構込んでいる。とりあえず、コンパートメント入口上部の予約表を探し、やっと、落ち着く。と同時ぐらいに、電車はこれまた定刻どおりにボルツァーノを発車。なんか、とっても疲れてきた。そして、お腹も空いてきた。ということで、サメダン出発以来持ち続けてきたおむすびを食べることに。で、食堂車に行ってビール(ハイネケン:1缶500で3500Lit)を買い、昼食に。Trento・Roveretoと停車し、窓の外がいつのまにか、りんご畑からぶどう畑に変わったり、丘の上にまたまた、お城(?)を見つけたりしても、ちょっと、感動が薄くなってしまったり。で、なぜか、定刻より早い16:59にVerona Porta Nuovaに到着。
今度はホテルからFAXで送られてきた地図を頼りにホテルへ。Porta Nuova(ポルテ門)をくぐり、大通りを歩いて7〜8分でHotel Firenzに到着。サメダンを出てから約8時間、5つの乗り物に乗っての大移動が終了。
さて、ホテルで一休みをして今度は町に出てみることに。(今思うと結構疲れてハイになっていた気が・・)大通りを中心部に向かって歩くこと5分。ヴェローナの中心部に。ここヴェローナはアレーナで行われる夏のオペラで有名な地。ホテルもこの時季かなり高い上に取りにくく、特に中心部に行くほどその傾向が強い。アーチをくぐり、1っ歩はいるとそこにはどこから涌いたの?というくらいの人が・・・人の大洪水状態。アレーナに面したトラットリアやピッツァリアはほぼ満席状態。スイスでの人込みと違い、日本人の団体はいないが、日曜日の渋谷・新宿も真っ青さ人込み。う〜んすごい。 ヴェローナをゆっくり観光するのは明日ということにして、とりあえず、Mazzini通りをErbe広場まで行ってみることに。すでに7:30をまわっているのに、通りのお店はどこも営業中。スイスの6時閉店に感覚的に慣れている自分にはこれも驚き。ほんの何時間かの、そして、何kmかの距離でこうも違いがあるものだろうか?でも、ヴェローナの町の第1印象はなかなかいい。人は多いけれど(警官も多い)、古い町並みが残っていて、想像していた通り。あとは、どこかで、夕食を食べて明日の観光に備えて休むことに・・・
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